■ゴールデン・デイズ

ゴールデン・デイズ 1 (1) ゴールデン・デイズ 1 (1)
高尾 滋 (2005/11/18)
白泉社

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ゴールデン・デイズ 2 (2) ゴールデン・デイズ 2 (2)
高尾 滋 (2006/04/19)
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ゴールデン・デイズ 3 (3) ゴールデン・デイズ 3 (3)
高尾 滋 (2006/08/18)
白泉社

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奇跡がおこるのなら
もしも時が戻るのなら
あいつをきっと、助けに走るのに―――


高校生の光也は、幼い頃の事件が元で病的に過保護な母親に縛られている。
口が悪く反発的な態度を見せつつも、根は優しい光也は彼女を突き放すことが出来ない。
そんな折、敬愛する祖父の病状が急変。
母親の制止を振り切って祖父の好きだったヴァイオリンの曲を弾こうとしたその時、地震に襲われ、光也の脳裏に不思議な声が響く。

回る世界。混濁する意識。

意識が覚醒した時、目の前にいた少年は何故か自分を祖父の名で呼ぶ。
車のほとんど走らない道、和装の人々・・・そこは、祖父が自分と同じ歳だった時代。大正時代だった。

祖父は一体、何を悔やんでいたのか?
彼の若い頃にそっくりである光也は、祖父「慶光」として戸惑いながらもその時代を生き始めるが・・・・


というお話。

何よりもまず、絵の美しさにびっくり!
元々独特の、柔らかい線を描かれる方でしたが(好きでした)より洗練されて色気が出てきたような。

主に出てくる時代が大正(かつ登場人物ほとんどいいとこの坊ちゃん)なだけに、服装や建物なんかも素敵♪
個人的に、ボウタイをしゅるっと抜く動作とか、椅子に腰掛けて革靴の紐を結ばせる様とか、注視しちゃったね!!わかってるなー!!

と、脱線しそうなので話を内容に戻します。
多少内容に触れますので、ご注意をば。

作者さん仰る通り「タイムトラベル・大正ロマン・男同士の語らい」てんこ盛りでした。

この『男同士の語らい』が曲者でして、密林さんレビューで「BLです」って書いてあって私びっくりよ(笑)
でも、読んでみると、うーん。これ、BLではないと思う。
ボーイズラブ風味というのもまた、なんだかニュアンスが違う。

祖父・慶光の友人である仁が、思い切り慶光に対して「愛してる」とのたまうのがその部分なのですが・・・本人曰くの恋情であるかは疑問。
読んでいて切なくなるような「愛情」であることは間違いないのですが。
もっと萌え要素を投入してくれても良いくらいよ!ってなくらいに切実な「大切さ」なのですよね。

それだけ大切だった慶光を失った仁の悲しみ。
そして、光也自身も見知らぬ世界で「自分ではない自分」を求められる哀しさ。

そういったものが根底にありながら、光也や持ち前のタフさや優しさで彼自身としてその時代に馴染んでいく様がとっても素敵です。
(格好良いのよ光也がまた!芯が強くてきゅーんとくる)

そしてまた、仁をはじめとする周囲の人々も、慶光とは違った光也という人物に惹かれ影響されていく。

登場人物達が一人一人、互いに関係し合ってその世界ができあがっているのが見えて、その視点が優しくてなんだか癒されました。

タイトルがまた・・・しばらく読んで、1巻1ページ目を見るとなるほどなぁとじーんと来る。

黄金色に、輝いていた日々

『謎』の部分が多くて先が読めませんが、やはりタイムトラベルものの醍醐味としての切ない展開は予想できるところなので、余計にぐっと来るのかも。

3巻にもちらりと出てきていましたが最初のタイムトリップのきっかけが『地震』であったのもあり、関東大震災にもう一度時間を跳ぶんじゃないかと思ったりします。でも丸2年後だから関係ないかな?(どっちだ)

とある人物の「この時代の人間を愛するには覚悟がいる」という言葉も、この段階になると非常にリアルで胸に迫る。

一体これからどんな展開に!?
と気になってドキドキもしつつ、なんだか落ち着いて待てる安心感もあり(笑)

最初に戻りますが「タイムトラベル・大正ロマン・男同士の語らい」にピンと来る方にはお勧めです。

私は某サイトさんでそう書かれてて、思い切りピンと来たので読んだら大当たりでしたv

2006.10.02 記

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